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CSCのブログのバックアップだったけど、こっちがほんちゃんに。

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読書感想文

 勝つヨセの絶妙な手順 光永淳造

 図書館にあった。予約はいってたのでしぶしぶ返した。
 ヨセ本。個人的には手止まりの部分が一番頭に残った。そこを起点として考えることで最善のヨセができると。一番の収穫はそれとそれに関連して考察できた部分かな。あと出は大きいってところかな。

 手止まりに最後に回ることができたからどうのというのもあったけれど、判断の基準となる後手何目の計算方法自体に、判断を惑わせる意味がある気がする。期待値含めて8目とせずに、黒からなら何目、白からなら何目と何目の手が残る。2手で何目。のような形にした方が、むしろヨセの手順についての流れをきっちり整理できて把握できたんじゃないかと感じた。また、大きいヨセからではなくて手順こそが重要というのは確かになるほどではあるのだけれど、単純な三子とりと二子とりの2択だったら三子とりがいいのは決まっているのだから、ヨセとしては小さく見えるけどこちらの方じゃないと負けですという説明は、変化図からの総当りではなく理屈で説明してほしかった。あのヨセ形にするから分かりにくいけど、よく出てきた5目+6目の後手8目のヨセなら変則的に石を取る形に還元して説明できなかっただろうかと思う。↓のような感じで

┏☆┯┯┯┯┯┯┯○┯┯●●┯●☆●●
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 こうすれば白が二手で11目の手を打ったことが分かりやすいと思う。


 それと問題図から正解の流れを見ると全部読んだ上で比較して初手を結論づけていたりする。結局全部読めって話に見えなくもない。まぁ手があるかどうか見えなければ最善も何もないのだから当然なのだけれど、ほとんどが1目をひりだす問題なので、棋力が追いつかんと結局のところ実戦でも役に立つ感じはしない。
 問題図は結構たくさんあって疲れる。ぶっちゃけいちいち数えるのが大変なので、SGFにして並べまくってやってた。コウを絡めてあるのも多くはっきりいって面倒。コウやコウ材の数まで問題図から読みきれるわけがネーだろと思うものばかり。ただ結局問題だからこそ1目勝ちが分かっているけど、実践ではそういうわけではないので、アマレベルでどういう手順で打つのが最善かを見極められるようになるかが重要な気がするのだが、そこは手を抜いている気がする。どうせなら大雑把にどこから打つのがいいか的な簡単な問題を、多く入れてくれた方が良かった気がする。応用問題の1目をひりだすようなヨセは、アマレベルでは理解はできても実践で使えるかといえばはっきり言って無理。ざっくり3つの候補と逆ヨセの中から初手の正解手を選ぶという問題から、少しずつ手順を伸ばしていくような形のほうが良かったのではないかと思う。結局どこが一番大きいのかの感覚を掴む前に総当りでヨセなきゃならない感じ。一回一回数えるのも面倒だしね。どうせならこういう風に目算していますというコツくらい載せて欲しかった。 

 なんか東大数学科出身だそうだけど、とりわけ数学的アプローチがあるわけでもなく、「先着の価値」という言葉で表していたが、大体最大の後手ヨセの半分より上のほうが多いという経験則だったり、言葉と囲碁の盤面を用いて説明していたけれど、ざっくり別のシンプルな何か。例えばトランプと図をメインにした方があそこらへんの説明はわかりやすい気がする。
 逆ヨセの価値については昔自分でブログにも書いたのと同じだったので、別にという感じだし、あわじぃも言ってた気がするし、絶対計算でも似たような記述が確かあったしな。もう皆知ってるんじゃないかな。誤って価値の低いヨセから打ってしまった時の損がどのくらいかというのも、昔2chのヨセスレでさんざんやって結論的なものは出した気がするしで、そういう意味でそこはざっくりで終わってたので、プロとしてもう一歩欲しい気はする。大きく言えば手止まりの考え方以外はほぼ既知だった。小ヨセで最後の10手を最善で打てるわけねーだろって自覚しているレベルには、問題はちょっと難しすぎだし。逆算してポイントが分かるときは分かるんだけどね。プロはあの小ヨセレベルなら一目ですらすら並べられるんだろうけど、こっちからすれば10分かかっても並べられるわけがねーって感じッスからね。5分くらいで読み切れるくらいにしてほしかった。
 

 ただヨセについてあまり考えてこなかった人にとっては、ヨセ本としてはかなり詳細ではあるし問題もたくさんだし良著だと思う。ここはこういう手がありますよ。こう数えるので出入り何目ですよ。というのは沢山あるし、それらは一種の詰碁問題と変わらないのだけれど、理屈でヨセの打ち方を示した本は初めてだったので、今のところ教科書的な意義があると思う。ヨセに関する本は結構少ないしね。一部の問題はミスがあったみたいだし、問題図と変化図で余分な石があったりとか細かいミスはちょっとはあるけど。 

 あわじぃのNHK講座のヨセ本があった気がするけど読んだっけかなぁ。講座を見てた限りではそこまでたいしたことやってなかった気がするしな。




 考察
 上の図も使って、最初の方の問題にあった、☆と他に9目と6目の手と1目の手があった時、黒番で9目から打ったなら

 黒(9目+6目)-白(5目+6目)+残りの手番(1目)=4目+1目→5目

 黒が☆から打ったら残りが1目の手が二つなって、9目から打った図より1目得だったので

 黒(☆+6目)-白(9目)-残り手番(0目)=6目

 ってことで、☆の手は相手の手番の価値を1目減らした上でこれなのだから、10目くらいの手だった。ということになる。少なくとも数字上は9目以上あったという話になる。これ自体は手止まりがどうとか関係なくそうなる。

 これは一方で☆に逆ヨセの意味があったとしても同じで、☆の数字がどのみち9になる。ただし、☆に打つと白の手番の価値が3目になる点はのちのち注意が必要なのかもしれない。
 

 ということは数字にしてみると☆が後手8目という認識がそもそも間違いで、結果9目以上の手であり、つまり大きい方から打ったほうがいいというのは正しいことに変わりがなかった。計算の見かけ上小さく見えるだけで、実際は大きいということになる。


 そこで仮定。☆は普通の計算上後手8目。白から2手打つと出入り11目になる部分。という事は一手で3目しか違わない。つまり黒から一手で11目分済ますのだから、11目と8目の半分である9目半とみなすほうがいいんじゃなかろうか。黒は一手でその部分を収めることができるわけだから☆が同等の価値にするのは違うような気がする。まぁ☆は出入り9目半くらいとみなすべきところだったんじゃないか?。という仮定。
 他の似たようなヨセの問題でも同様のことがいえるのなら、出入り計算方法に問題があることになる。
 見合い計算で言えば図の右側で言えば、白は☆に打つことで白地2目半から8目にしたことになる。+5目半。6目とりも最初の時点で含めるなら白地4目を8目ってことになるのかな。4目くらいの手だと小さい気がするけどどうなんだろ。それだと後手8目ともあうな。5目半なら、単純に見れば出入り9目の場合一手の価値が4目半だからそれより大きいってなって結果と合致するんだけどなぁ。

 とりあえず、黒から打つ場合と白から打つ場合でヨセの価値が変わる場合や、ヨセの手の後にさらにヨセが残る場合では、今まで言われていた単純な出入り計算の大小はアテにならない。というのはこの本で分かったな。二線カミトリからのハネや下がりでさえそれで1目違ってきちゃうしな。実践ではそういう場所も多いから計算上はそれで1目変わる率が少ないってだけで。
 
 問題のほとんどをSGFにしたし、当分これで楽しめるわ。

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