ぽっぽやを読みおわる。
短編が数本まとまった本だった。
鉄道員は北海道のとある駅の駅長が、幼くして死んでしまった娘の幽霊とひとときをすごしてという話。
他に、やくざ商売の男がただ籍を入れただけで、見たこともない女の死をきっかけに故郷に帰ろうと思う。
ある少年が、家庭教師を悪魔と思う話。
南米に左遷される商社マンが、自分を捨てた父(霊)と再開し、南米へと渡っていく話
高級既製服の営業マンが紹介されたブティックの女主人に惹かれながらも、女の恨みは怖いねという話。
亭主に浮気されて子供までできてしまった妻が、亭主の実家の盂蘭盆会で亡き祖父にあう話。
これもやくざ商売と思しき男が、拘置所かなんかで一緒だった北さんの家族に、クリスマスプレゼントを何故か持っていく話。
こじれた夫婦がふるさとにある活動写真屋の閉店の催しにいく話。
なるほど、浅田次郎が書く世界というのは、こういうものなのか。と感じた。思いのほか霊や悪魔などファンタジー。あと、大抵の作品の性というか男と女の関係の描写がある。そのほとんどは印象の悪い感じで描かれていた。でもそれが普通であるかのようにかかれていた。感じ方の違いだろう。それと、舞台設定なのかまぁ大体バブル期以降の社会状態という描写が多い。
短いせいもあるが、一作品毎になにか胸に残るような印象を与えてくれる。不自然な部分もなくきれいにまとめられている感じがした。