この前のヨセの続き。
まず「A+B」目のヨセで「A<B」であるようなヨセに何か名前をつけようと思ったけど、そんな格好いい名前は出るはずもなく、もう面倒なので、「半先手ヨセ」、「半逆ヨセ」と名づける。
で、通常の片先手ヨセと逆ヨセを打つタイミングをまとめてみる。逆ヨセを打つタイミングとは、手番の価値を渡しても逆ヨセがそれより大きいタイミングである。
逆ヨセ>手番の価値
である。ちなみに手番の価値は両後手のヨセから便宜上導き出される。
で片先手ヨセのタイミングはこのことをふまえて、
逆ヨセ≦手番の価値 ・・・(1)
かつ
そのヨセに手抜いた時にできるヨセ≧その場面で最大の後手ヨセ、もしくは手番の価値以上の逆ヨセ ・・・(2)
であることになる。
問題にしている「半先手ヨセ」とは(2)の条件を満たしていない時に発生するものということができる。AとBの差が小さく、Bのヨセが両後手ヨセであるというのが、ここで想定しているケースの大半。Bのヨセが片先手ヨセの性質を持つ場合、BはAの倍以上に当たる大きさである場合であるということになる。「5目+6目」とかではなく「5目+12目相当」くらいの差になっている為、通常はそこまで気にしなくとも、先手のタイミングで打てるはずである。もちろん絶対ではないが、その時の手番の価値や後手ヨセの状態が多少偏ってないと、先手にならないということはない。単純にいえば、「手番の価値>B」ならBが逆ヨセでも後手ヨセを打つことになる。残りが7目のヨセしかないとなれば後手ヨセを選ぶのと一緒。ま、これからやっていくうちに多分応用が利く話ができてくるだろうからまぁべつにいいか。
で、「半先手ヨセ」を打つタイミングはいつか?。である。
前回の中で、黒、白双方ともにできるだけ遅いタイミングで打つのが良いが、ある時点で黒と白とで得失差が同じになる。そこがタイミングになるだろういうことだった。で、具体的に数字を出すとすればどうなるだろうか?。
今度はひらがなで
黒 あ、う、お、き、け
白 い、え、か、く、こ
手番の価値=Z
いつもどおり上に、☆(A+B)を加える。☆は白の半先手とする。
前回やった展開は省略。さて、☆が半先手の時、話上、Z<Aならば黒は逆ヨセとしては得している。しかし白からはBが最大後手ヨセじゃない時に打つと損なので、Z<Aだからといって打つ必要はなく、黒はそれを見極めることができれば、そのタイミングで打てる。
これは白が☆に打つとBが最大後手ヨセになるまで手番が入れ替わる。仮に「え」の時に打ったとする。そうすると
黒 あ、う、え、か、く、こ、
白 い、☆、お、き、け、
となる。これは構造的に「え」から「B」が最大後手ヨセになる時までの手番の価値を渡すことになる。光永ヨセでいうと、間違って小さいヨセから打った時の損の話に少し近い。これは昔2chのヨセスレでやったので詳しくは書かないが、この渡してしまう手番の価値だけ白はタイミングを遅らせなければならないし、黒はタイミングを遅らせても損をしないという話になる。
1順分。「黒え、白お、」とやって「黒B」となる場合、白は手番的な話ではおよそ1目損ということになる。元々は「白え、黒お」の前提であったことを考えると出入りは倍の2目損。今、「え」と「お」の差が1目であるという前提だが、この「え」と「お」は3目差でもいいし、一手毎の価値ではなく、5手5手の部分的な手番の価値とみなして考えても話は合うので、
白が半先手ヨセを打った時に生じる、「部分的な手番の価値」の出入り損
黒が半逆ヨセを打った時に生じる、「半逆ヨセ-手番の価値」の得
が交差するタイミングが打つタイミングということになるはず。これは当然手番の価値に左右される。整理すると、
白から見て、次に黒が☆に打った時の逆ヨセ得が、今☆に打つ出入り損よりも大きい時
黒から見て、次に白が☆に打った時の出入り損が、今☆打った逆ヨセ得よりも小さい時
ってなりました。
こうみて見るとなんとなく普通の後手ヨセの話とあんまりかわらねーな。と感じるけれど、タイミングを間違えると1目2目平気で違ってくるということだからな。実は相当大きい話。手番の出入りが2目単位ということを考えると、手番一つミスすると2目違ってくるという話。小ヨセの最後で読みに読んで1目ひりだすよりかは重要な気がする。
結局手番の価値という概念次第なのだけれども、両後手ヨセを正確に把握していれば答えは一応出るということはなる。そこまで難しい考え方ではなく部分的な話であるし、相手がこう打ったらどうなるかという話だから読むことができれば可能な話。
でもこれらが複数あるとたしかに面倒だな。まぁ俺じゃ読みきれない。でも一つ一つ数字で比較きた。当然優先順位がでる。それが分かったのがよかった。
これは、今までの何目+何目で後手何目という数字だけをみて、「大きい方から打つのが最善とは限らない」という様々なヨセ本で言われている説明を真っ向から否定して、はっきりとした数字比較で大きいかどうかが分かるというものなので、今までのヨセの本を書いてきた棋士にとっては嫌な話かもしれない。実際光永プロがこの話を読んだらどう思うだろうか。プロの棋士なら誰しもが分かりきっていることなのかどうなのか。読めばいいだけだからプロは必要ないかもしれないが。
また、黒から打つ最善と白から打つ最善が違うというのもこれで説明がつく気がする。今までやっていた数字での大きさとは別に、手番の価値による比較が必要でその手番で大きさが変わる。こういったタイプのヨセが複数あると当然複雑にはなる。でも逆ヨセも含めてこれらを部分部分で積み重ねていくと最善に近くなるんじゃなかろうか。
これを考えるとメーエンの絶対計算での形勢判断で誤差として1目を出していたのは、光永ヨセで言う小ヨセの1目と同じ意味であるなぁと思う。最善ではなくても最善に近づけるための非常に現実的でわかりやすい方法であり納得のいくところ。一方それは大ヨセの段階ではプロは完璧には読みきれないってことでもあるのだけれど。
一応、光永ヨセの最初の問題に当てはめてみる。☆(5目+6目)、後手9目、6目、1目がある。問題どおり、黒の手番で見た時は逆ヨセ得は1目。黒9目を打った次の白が☆に打つ出入り損は0目。よって黒は☆を優先すべきとなる。うん、話はあってる。
ここで白番だったらと仮定する。出入り損はパッと見、3目*2=6目。白9目のあと黒が☆打つ逆ヨセ得は0目。どの道出入り損の方が5目より大きいので打たない。つまり白はからは☆に打たずに、後手9目を優先すべきとなる。
実際に白番でやると後手9目を優先する方が3目得になるけど、どうしてそうなったかはよくわからん。☆に打つと+☆-9目+6目+1目=-2目+☆。☆に打たないと+9目-6目+☆+1目=4目+☆。でこれの差が3目。
(4+☆)-(-2+☆)=3
→6=3
うんおかしい。
10,9…1で図を作ってやったら、黒から打った時とパスした時とでの差が5目だった。出入り10目で実際の差は5目しかかわらんのか。数え方が根本的に違ったな。出入りの数字と実際の差は出入りの半分でいいと。だから出入りの6目差が、最終的には3目差なのは間違いじゃないのか。数える時の基準を間違えてないなら別にいいんだな。結局上の場合は出入り損6目がそのままスコア差になっているので、出入り損の考え方も間違ってないようだな。
ふぅ。ああよかった。納得した。あの期待値を含めた後手何目っていうのがずっと胸につかえてたんだよな。ヨセ本を読むとよくそう思った。期待値含めた後手何目っていう数字の出し方に問題があって、実際それではヨセにおける正確な数字にはなりえない。ってことをこれで証明できたのかどうかはわからんけど、構造は解明できたと思う。プロのヨセ本に書いてあること以上のヨセについての仕組みを、こうやって導き出せたということで満足。まぁ他にもこれに気付いている人はいるんだろうけど、自力でやったということが重要。もしかしたら囲碁界最初の1人に・・・。なわけないか。何だかんだ歴史があるからな。
光永ヨセの先手ヨセのところでヨセを大きくする代わりに後手を引くのは、逆ヨセと同じというのは、ちょっと目からウロコだった。