たまにアクセス解析でくる検索ワードで見てたら、7年前の漢傑七段の小ヨセに関するブログにあたった。
講座前の多分結婚前の若かりし頃のリンせんせ。
http://blog.goo.ne.jp/kan_kan_march/e/dd28697d9f76816917216da75edf6aa3
ちょっと読んでみて気になったので、これを教材に俺ヨセ理論でどうなるか考えてみたい。
棋譜が見当たらなかったので盤面画像にした。で、俺から見た時の眼につくところに文字を追加でつけた。
まず
A:パッと見後手6目
B:逆ヨセ3目強
C:逆ヨセ3目、もしくは後手5目半
D:黒の権利ですが、白番なので、一応逆ヨセ2目
とのこと。
俺から見るとまず両後手ヨセはどこかが焦点になる。
白番ではあるがまずGは明らかに両後手ヨセとみていい。2目。
次がFなのだが、普通に打てばこれも両後手2目。だが白からなら(1+3)目とも見ることができるのが悩ましい。どちらで打つかで結果が1目変わる。実際半目勝負というのだからたちが悪いね。
でまぁざっくり言えばこの二つくらいしかほぼ両後手に見えるところがない。
それで考えると手番の価値は2目、もしくはゼロ目ということになる。最初の数字が2目以上なら大体逆ヨセとして打っても損はしなさそう。というのはわかる。
でAはおれの棋力じゃまずパッと見ではわからないのだけれど、Bについては完全にずれる。
├┼○○●┼┼┼
├┼┼┼┼●┼┼
├┼┼○●┼┼┼
├┼┼○○●┼┼
├◇○○●●┼┼
└▽★●▼┴┴┴
黒から★に白▽黒▼白◇と普通にすすんだ先手の状態で見る。白が手抜いた場合は黒◇の手が4目+αの手。ほぼ先手。
├┼○○●┼┼┼
├┼┼┼┼●┼┼
├┼┼○●┼┼┼
├┼┼○○●┼┼
├┼○○●●┼┼
└┴☆●▼┴┴┴
白から☆にオサエた場合、黒▼についだ状態がこれ。白が▽と抜く手が2目+αの手。こっちはまぁまぁ先手。
この2つの図の比較で目数を出す。白地が2目違うのでヨセとしての最初の数字は2目。
黒から見れば★は(2+4α)目の手。白からは(2+2α)目の手。
後ろの数字は黒の方が大分強いので、黒の権利が強い半先手。ただし、白が半逆ヨセとして打つとしても基準となる目数は2目。3目強とする理屈もわかるんだが、ここだけで判断が1目ずれる。まぁそもそもプロが逆ヨセ2倍として計算しちゃあかんと思うけど。
次にC
この形はかなり複雑なので厳密にやると難しいが、
┼┼┼○○○○
┼┼┼●○┼●
┼┼┼●●○┤
┼┼●●○○☆
┼┼●○●●◇
┼┼●○●◇▽
┼┼┼┼●●┤
┴┴┴┴┴┴┘
◇の石がない状態で見ると白☆は(2+1)目の手。黒から☆に打つと先手。
ということは◇がすでにあるので☆の手は(+1)の部分を確定の意味もあり3目。次に▽と打つのが3目+α。よって☆は(3+3+2α)目の手と言える。
┼┼┼○○○○
┼┼┼●○┼●
┼┼┼●●○◇
┼┼●●○○★
┼┼●○●●○
┼┼●○●○▽
┼┼┼┼●●┤
┴┴┴┴┴┴┘
先に黒★に打たれると、すぐに白◇と抜いたところですぐに白▽が打てない。オイオトシの関係で(3+2+(1+半コウ))みたいな手が残るので、上の図より▽の手が小さくなっている。部分的に3目より小さい。3目弱か2目強ととるかは難しいが普通に2目強と計算する。先ほどの3目+αと比べるとその分隅の黒地が1目強確定されているといえる。
┼┼┼○○○○
┼┼┼●○┼●
┼┼┼●●○┤
┼┼●●○○●
┼┼●○●●○
┼┼●○●○★
┼┼┼┼●●┤
┴┴┴┴┴┴┘
黒が続けて★と打つのは先手。隅の黒地が3目あるが、1目強から3目に確定して、それプラス一子の抜き合いなので2目。つまり4目の出入り。もうちょっと細かく言うと4目弱の出入り。というわけで、
┼┼┼○○○○
┼┼┼●○┼●
┼┼┼●●○☆
┼┼●●○○★
┼┼●○●●○
┼┼●○●○┤
┼┼┼┼●●┤
┴┴┴┴┴┴┘
★に対して☆と抜く手は逆ヨセ4目弱くらいということになる。
全局から見ると★に対しては☆とほぼ受けなくてはならないということになるのだが、とすると、
┼┼┼○○○○
┼┼┼●○┼●
┼┼┼●●○┤
┼┼●●○○☆
┼┼●○●●○
┼┼●○●○┤
┼┼┼┼●●▽
┴┴┴┴┴┴┘
結局この手は(3+4+α)目くらいのヨセということになる。逆ヨセ3目はいいのだけれど後手5目半はどう数字を加工したのか。とはなる。ま、後ろ5目くらいを折半ってことなんだろうけど。そういう意味では2枚目の画像の白☆にすぐ抜いたのは黒として最善か若干疑わしい。
左下は後ろの数字が他のヨセとの絡みで数字以上に大きいので何とも言えないのだけれど、一応でいえば白からの半逆ヨセとしては、始めの数字が大きいので右下を優先すべきじゃなかろうか、とはなる。正直手番損の関係を見ると変わらないくらいだと思うが。
さらに言えば☆から▽にコウにする手段もあってそれなりに大きいしね。やってみると損コウ打ったりしながらやってみたけど、Aからのヨセと比べて白が1目足りなさそう。
Dの形は分かりやすく逆ヨセ2目だけれども、Aからのヨセとの絡みでもっと複雑だし、比較する場合はBとCがどちらが大きいかの判断がアマからすると難しい。ただBとCがほぼ見合いとしても、逆ヨセとして一つどちらかを打つか、Aがその逆ヨセ2つ分か先手なのかどうかが問題になる。結局Aがどのくらい大きいかが重要なんだけどね。実際パッと見の数字の判断が間違ってたということだし。
棋譜がないのでアゲハマの差が分からず、残りどういう手順で黒の半目だったのか。検討からの白の半目の残りの手順もよくわからんしで、どれが最善の手順かはわかんないんだけどね。一方のヨセがもう一方のヨセと絡んでくるともうわからん。
Eの三路下一路左なんて、黒から打てば手を抜かない限り2目できる。その1路上が(1+2)目の手になるんで、(2+1)目と見ればいいのだろうか。ってなってよくわからないしね。正確な数字を出すだけで大変。必死こいて時間かけてこれなんだから悲しいね。
半目勝負だと本当に1目のヨセが手どまりとなるどころか、半コウ勝負にもなるので、理屈通りのヨセで打てたとしてもというところがあるんだよなぁ。
ヨセは難しいねということを再確認。