素子の碁 サルスベリが止まらない
新井素子
なんとなく名前は知っていたけれど、作品を読んだこともないしでどんな感じかと思ったら、かなりの口語調。しかも実際に起きていたのは2005年とかそこら辺の話で、その上エッセイとして掲載されていたのが、そのちょっと後の2年ほどということで、エッセイ上の時系列と現在のそれとが非常にわかりづらい。なぜ今になって本が出たのやらという感じ。使う棋譜も当時のに合わせればいいのに最新の棋譜とか使ってるからややこしい。自分にはなじみの薄い言葉が出てきたりするところは、こういうエッセイならではかな。
内容はそのまま囲碁初心者あるあるという感じをつらつらと。プロのそれと比べるのは何だが、そこら辺の囲碁ブログとさして変わらない。しいて突っ込むとすれば、ノビやオシあたりの言葉は、相手の石との関係を踏まえた表現だから、「てにをは」で表現するよりかは、自分と、ある女性を「妻」「恋人」「友人」「他人」のように表現しているものと解すべきではないかとは思った。まぁその話も10年以上前だし、作家さん本人も今じゃ60近いことになるんで、当然分かっていることなんだとは思うが。
ただ、作家ならではの経験談はうらやましい限り。そういった舞台裏的なものは基本的に活字になったりしないしね。
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