青天を衝け
全42回くらいかな。と思って調べたら41回だった。今年もコロナの影響でスタートが遅れたりオリンピックだったりで回数は減っている。それでも年末ぎりぎりまでやってたのは久しぶりな気がする。せごどんなんか途中で総集編的なのやってたりしたからな。無駄に。
で、まぁ基本的には渋沢栄一のお話ではあるんだけど、幕末というか明治に至るまでが7割という感じ。明治から関東大震災までやってるし、亡くなったのが1931年なので明治以降の約60年を3割という感じになっている。まぁ確かに青春の日々がテーマであったろうと思われるけれども、それなら生涯全部を描かなくてもとは思うし、その割に息子のごたごたで2話分くらい使っているし、中村芝翫(しかん)の岩崎弥太郎とのやりあいでも結構使っているしで思ってたより薄い。残り60年が薄い。大隈とか弥太郎とか、古いのでいえば水戸烈公や平岡やその妻あたりのキャラを立てている方が目につくし、青春篇からして今から思えば中身が薄かったとは思うが、それにしてはという感じはあるな。全部やろうとして薄味になっているような気さえする。幕末までを重きを置いている割にそこまでではなかったしな。パリに行ってたからというのもあって確かに盛り上がりにはかける部分があるのはわかるが、もう少しどうにかならんかったものか。西南戦争もあっさりだったしな。論語とそろばんも取って付けたような描写しかないし、渋沢はこう生きたというのが表面的にはなんとなくわかるような気がするけれども、その根底にある思想であり哲学というのが具体的に伝わってこないというか。幼少期の方がまだちゃんとしていた気がする。途中からは渋沢の成長や成熟といったものがないというか。明治以降はある意味惰性な気さえする。それにやっぱり幕末もの特有のテロ思想というか、極端な思想を安易に受け入れてしまう感じも受け付けない。橋本愛もパリに行ってた頃にどうこう難癖をつけてたりしたけど、なんかかぶれている感が出てしまっていたしな。ある意味急に。
あと老け方が雑。明治を一気にやっているせいで時間の流れが分かりにくい。とおちゃんかあちゃんはまぁいいとしても、喜八はまだしも慶喜あたりは大概。幕末のと比べてそこまで老けているように見えないし、その割に老けたかなと思ったらすぐ死んだしな。畳み方が雑になりやすいのは近年の大河あるあるだけれども、栄一の老け方も同様。
絵作りでは戦争シーンをこだわったとか、そういう感じにも見えなかった。基本室内で終わる内容でもあるし。とはいえ血洗島を含む藍づくりの風景は映えていたかな。あの大きな木は印象に残りやすい。藍染の服や反物とかも。逆に言えば幕臣以降のシーンで絵作り的な部分で魅せポイントだったとかこだわりを感じられそうなところはなかったな。
役者陣に関しては特に不満がない。強いて言えば草彅くらい。俊英というか才気のある感じは正直あの芝居にはないと思う。なぜ草彅なのか。あの演技プランが正しいのか。ってな風に見えてしまう。正しいとしてどんな意味が?という。監督がOK出してるんだからそうなんだろうけれども、違和感の方が強い。今まで見てきた慶喜の中では一番凡庸に見える。作中でも天下にふさわし人物と散々言われ散らかしている割にそう見えないからな。本木慶喜のイメージも個人的には未だにあるしな。他は皆ちゃんとやってたように思う。残る不満は中村芝翫は名前が読めないこと。元就から20年以上を経て弥太郎か。周布様がいつの間にか利通に。橋本愛もせごどん組だな。ちょっと間隔早くない?。小林薫は直虎だけど基本役者的に結構強いからな。あとは、栄一の息子と孫は流石に相応の年齢の役者にしろやってくらいか。1,2回程度だからというのもあるんだろうが、手を抜きすぎだろうと。30オーバーっぽい人間に15歳の役はちょっと。いや、確かに古見さんで増田が高1の役をやってたりはしたけれども、流石に状況、環境的な違和感の方が強い。いきなり出てきた登場人物の年齢感がさっぱりわからんのは良くない。古見さんは学校ものという設定や学生服といったものが共有されているからこそ年齢感が分かるけれども、大河でいきなり出てくる登場人物で何の知識もない状態で見たらその補正はできない。役者と役年齢にギャップがありすぎる。声優さんを今回も無駄に入れてきたのは楽しめたけれども。
OPは創作ダンス系の演出だったな。何故それにしようとしたのかはわからんという感じなので、正直いまいち。ダンスとかの部分自体は悪くないんだけど、そのコンセプトの意味が分からん。北大路欣也の説明時の演出からして創作ダンス系を取り入れていたので、そうやりたかったんだろうなとしか思えない。作品をきちんと表現する上で必要だったようには見えなかった。あとフォントがなんかいまいち。タイトルの字はいいのだけれど、個人的にはなんかな。音楽は悪くない。
あとディーンフジオカ案件で囲碁がちょいちょい。
全体としてそこまで悪いわけではないんだけど、良い作品とまでいかないという印象。幕末ものとして完走できたしな。麒麟とどっこいという感じかな。麒麟は後始末がひどすぎたからな。
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