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CSCのブログのバックアップだったけど、こっちがほんちゃんに。

にき

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にき

 天地明察 冲方丁(うぶかたとう)
 
 江戸時代の碁打ち2代目安井算哲こと渋川春海の話。天文方になったとかどうとかの話は一応は知っていたが、日本独自の暦作成にたずさわっていたのか。
 物語中では朱子学や算術、神道にも深い専門知識を有していて、ぶっちゃけかなりのチーター。人物的にはかなり飄々としているというか、朴念仁的な感じではあるが一種のサクセスストーリーなので成長過程が様々な伏線にもなっていて面白い。関孝和を絡めてというか基本の筋がそこではあるが、あまり知られていない日本の数学の歴史を知れる感じ。物語は一応恋愛もあり囲碁の話もあり、北極出地と暦作成の過程と分厚い分ボリュームはたっぷり。ひとつエピソードのおわりに次の展開をあらかじめ言っておいたりする構成。
 まぁ基本フィクションではあるんだろうけど、史実がそうであるような印象をうける物語。実際はどういう過程で暦が作成されたかとか、どういう人物でとかは全く知らないが。
 ただ、載っている数学問題が誤謬だらけということで、そこは結構不評らしい。俺もそれはひどいと思った。おれも招差術のやつ解こうと思っても変なのだもの。春海が話す解きかたや誤謬になった解説もそれは何かよくわからないものらしい。というかあの誤謬はないだろうという感じもする。というかあの文章で正確にわかる問題になっているような感じがしない。
 しかし当時の読み書きそろばんや算額奉納など、江戸時代の教育水準の高さが知れるエピソードがいろいろ含まれている。算術書や算木とかいろいろでてくるので、そういう部分をざっくり知る分には面白い。

 あと道悦道策知哲算知が碁打ちとして出てくるが、まぁ関との対比のような感じで道策が使われていたが囲碁打っている人間からするとおかしいと感じる表現がちらほら。
 目上の者を敬うなら先番の黒ではなく白を持たせるのが礼儀なので、道策が算哲に対してちゃらッと白持つのはむしろおかしいどころか不敬。つっても御城碁の戦跡を見ると算哲ひどいな。道策に負けまくりじゃねーか。黒で。何段まで進んだのかよくわからないけど、最初道悦と先で打っているところを見ると初出仕時には最低でも五段はあったのかな。後年は道策と先でずっと打っているので、七段くらいはあることになるんだけど、それでも手合い違いだろ。まぁ七段に向二子の1目負けが生涯の傑作とかいうやつだしな。wikiだと道策碁所就任に際して、安井算哲、知哲、春知が上手並の手合いとあるから七段格だったみたいだな。まぁ六段で良かった気もするがそこら辺は囲碁界における政治的なやつかもしれん。傑作局は春知みたいだし。まぁそういうわけで手合い上道策がちゃらっと白を持っても全くおかしくはないわけだが、さも敬意を払ってというのは違和感が。
 さらにいうとその上手の算哲相手にヒヤヒヤさせる保科公というのもありえん感じだな。もしそうなら保科公は高段者の仲間入りだからな。為政者でそんなに碁が達者とかはありえん。政治家がプロと互いで打てるとか現在でもありえないし、プロとアマでは技量の隔たりは大きいからな。プロになろうとしてなれなかった、まさに今プロになろうとしているアマでもなければ、上手と互いで勝負碁が打てるとは到底思われん。
 それと「定石」の使い方に違和感があった。「布石」ならばまだ普通なんだけど、結構な頻度で「定石」を打つと使われている。碁打ちの算哲からしたらおかしい表現だろう。上手ともなればなおさら。そういう感じで「手筋」とかとりあえず囲碁っぽい言葉を使ったというような印象を受けた。そこら辺は囲碁を知らない人たちにもということでの表現なのか、それともただ作者自身になじみがないだけなのか。それとも江戸時代では普通の表現だったのか。とてもそうは思われないけどな。

 個人的には外国との対比と天文学の視点をもう少し入れて欲しかったが、ざっくり暦学で括られちゃってたからそこはちょっと物足りない。でも日本で自分しかこの事実を知るものはいないあたりのくだりは好き。基本的の面白いお話ではあった。うぶかたとうは人があまり使わない面白い材料を美味しく調理するなという印象をもった。

 えんは俺の中でCV茅野愛衣。

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